読むこと#23
長谷川夕『僕は君を殺せない』
ぐいぐい一気読みしてしまい、
気づいたら終わってた。
サイコ×ホラー×ヒューマンドラマ
のような、不思議な小説でした。
一人称「僕」と「おれ」が交互に語られ、
少しずつ点と点が線を結んでいく。
一人称の話し言葉でぽんぽん進んでいくので読みやすい。
のに反して、登場人物が意外と多くて頭つかいながら読みました。
また、ネタバレになっちゃいそうで多くは言えないけど…
淡々と他人事のように語る口ぶり、読み終えるとすごく不気味。
え?
誰が誰?
こわいこわい、どこがどうつながるの…?
という気持ちで、怖くて気持ち悪いんだけど先に進まずにはいられない。
その先にある結末、
決してハッピーエンドではないのだけど。
詩的というか余韻が残るというか、
胸に残るものがありました。
※グロ苦手な方は注意かも。
表題作のほか、
『Aさん』『春の遺書』という短編も収録。
3編ともがらっと雰囲気が違って、
ぽんは『Aさん』が1番印象的。
日常とホラーの紙一重、みたいな生々しい空気がクセになってぐいぐい読んでしまう。
著者の他の作品も探したくなる。
これだから読書はやめられない。