それでもハラは減る

毎日20時更新、読んだ本と美味しいモノのこと。

だから私たちは、本を読む。角田光代『さがしもの』

読むこと#9

角田光代『さがしもの』

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読書って何が面白いの

 

と、聞かれることがある。

 

 

 

ゲームやスポーツと違って、大笑いしたり体を動かしたりしてスッキリするわけではないし、

所詮は誰かのつくり話、すぐ何かに役に立つわけでもない。

 

まあ、たしかに、そう…。

でも本好きはみんな、だから本は要らない、とはならない。

ならないから、本好きなんだけど。

うーん、なんだかモヤモヤする。

 

 

本作は、そんな気持ちにやわらかな答えをくれる。

やっぱり角田光代の描く言葉は、
あたたかくて、するどい。

 

 

”本”をめぐる短編集。

収録された9編どれもが、ちょっと切なくて、
じんわりとあたたかい気持ちになります。

 

 

自分にとって、こんな本はあっただろうか。

あの本とは、どうやって出会ったんだっけ。

読みながら、自分の本棚を眺めずにはいられません。

 

 

別に。

エキサイティングだったり、
役に立ったりするから本を読んでいるわけじゃない。

 

”誰かのつくり話”であっても、

胸がぎゅっと苦しくなったり、

読む前と後では、世界がまったく違うように見えたりもする。

 

本を読む理由はそれで十分、と改めて思いました。

十分、贅沢な理由だと思う。

 

 

 

そうやって1冊読むたび、

自分のなかにアンテナがぽこっと増えて、

新しい扉を開く助けになっていく気がする。

これだから読書はやめられない。