それでもハラは減る

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うるさいくらいの繊細さがクセになる。千葉雅也『オーバーヒート』

読むこと#21

千葉雅也『オーバーヒート』

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前知識ほとんど無く手に取りました。

同性愛を扱った小説です。

 

開いて数ページ、

 

 

う、あっ、ちょっと、苦手かも………!

と思ってしまった。

 

 

 

同性愛の描写がではなくて、主人公の哲学的な思考や詩的な比喩が。

 

ぽんは言ってしまえば芥川賞よりも直木賞派、奥行きのある言い回しよりもグイグイ引っ張ってくれる物語の方が好きなんだ…(アタマ抱え)

 

 

でも、気づいたら読み終えてた。

不思議。

 

 

 

 

主人公は、大学で教鞭を執る哲学者。50歳。

同性愛者で、年下の恋人がいる。

 

 

 

著者自身も哲学者であり、同性愛者だそう。

男性同士の恋愛・性事情はけっこうリアルに描かれています。

 

男性同士の恋愛を

「ともに少し遅く落ちていくこと」と表すのは、なかなか想像では至らない感覚だと思います。

 

 

 

また、“同性愛”という設定・描写に目が行きがちですが、

この主人公、本当に日々よくまあこんなにってくらい思考している。

 

誰かの頭の中を覗き込んだような、日記をこっそり読んでるような、不思議な感覚になります。

 

 

 

日々の小さな出来事を拾い上げ、一つ一つにうるさいくらい哲学を見出す感じ。

その理屈臭さと繊細さ、クセになります。

読み始めで食わず嫌いせず、読んでよかった。

これだから読書はやめられない。