読むこと#20
恩田陸『ネバーランド』
これこれ、恩田陸ってこれ…!
って頷きたくなる世界観。
“青春”と“不穏”がばちっと共存する感じ、
一気読みしてしまいました。
舞台は、伝統ある男子高校の寮。
年末にみんな帰省するなか、帰らず寮に残って年越しすることになった男子4人。
もうわくわくするじゃん……。
クリスマスイブから年越しまでの1週間、
彼らが一緒に過ごす物語。
ここまで聞くと、
“男子高校生のかけがえのない1週間”
というキラキラ青春物語の雰囲気漂いますが。
それで終わらないのが恩田陸ワールド。
実は4人それぞれ、苦しい過去をもっています。(この過去がなかなかに重め。)
それを1人ずつ告白して、関係が深まっていく。
元から“大親友仲良し4人組”だったわけではないから、
初日には少し緊張した空気が流れていて、そこから探り探り打ち解けていく様子がとてもリアル。
みんなキャラが立っていて、共感するところ・愛すべきところが違うのも見どころ。
そしてみんな、すごくタフで賢い。
本を閉じて、彼らが大人になった姿を想像せずにはいられない。
タイトル「ネバーランド」。
ピーターパンに出てくる、どこにもない場所。
4人が、不安定で脆くて、そして美しい時間を過ごしたあの寮。ぴったり過ぎるタイトルです。
これだから読書はやめられない。