読むこと#19
窪美澄『いるいないみらい』
「子は授かり物」なんて言ったけど。
子どもをもつもたない
いつもつか
をある程度選択できる時代になった。
だからこそ悩む、5つの家族の物語。
どの物語も、
ハッピーエンドというとちょっと乱暴かもしれないけど、ふわっと包容力がある終わり方。
真正面から向き合って答えを出すというより、
今自分たちがおかれている状況に目を向け、
これまでよりも少し前を向いていく。
そんな印象の優しくやわらかい物語でした。
それぞれの登場人物の、
最後の行のその先を想像して、何となくあたたかい気持ちになる。
1997年生まれのぽん自身、
最近少しずつ将来の家族について考えることが増えてきていて。
登場人物たちの悶々と悩むする姿にとても共感しました。
子どもをもつ人も、もたない人も。
迷っている人も。
毎日を必死で生きる私たちに、そっとささやかなエールをくれる小説でした。
読む前よりも少しだけ、毎日が、家族が、そして自分が愛しくなる。
これだから読書はやめられない。