読むこと#26
芦沢央『悪いものが、来ませんように』
ネタバレ厳禁。
この注書きがこんなに必要な小説もなかなか無い。
ぽんの読書歴で、
「やられた…!!!」
って声に出した小説は2冊だけ。
1冊は乾くるみ『イニシエーション・ラブ』、
もう1冊がこれ。
多くは言えないけど…キーになるのは2人の女性。
不妊と夫の浮気に悩む「紗英」と、
紗英がいつも頼りにしている「なっちゃん」。
読んでいて、2人の様子に違和感を感じない人はきっといない。
何か変。
何かが普通じゃない。
そう思いながら読み進めていくと、どうもこの2人が何かの事件にかかわっていることが分かってきます。
途端に、読んでる側は不穏な空気に取り込まれていく。
この、ざわざわぞわぞわ違和感と恐怖が這い上がってくる感じ。
でも読むのをやめられない感じ。
これを味わいたくて、芦沢作品を読んでるまである。
そして終盤、絶対言います。
やられた…!!!って。
実はぽん、読むの2回目。
1回目のときは、違和感と不穏な空気に引きずられるようにあっという間に読み進めて、
やられた…!!!
で終わったけど。
今回は、なるほどここで完全に騙されてた…と、答え合わせをしながらもう一回騙されに。
おかわりしたいくらい、爽快などんでん返しなのです。
そして、1回目にはそんな余裕がなかったのですが。
大どんでん返しの裏に、“母性”というテーマが見え隠れします。
切実な思いに、胸がきゅっとモヤつきます。
どんでん返しものだけど、何度読んでも面白い。
これだから読書はやめられない。