それでもハラは減る

毎日20時更新、読んだ本と美味しいモノのこと。

でっかい歯応え、お手軽きくらげで食卓1UP。

食べること#47

奥出雲木耳 陶山商店

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“あると心踊る、でも家じゃなかなか…な食材” だいぶ上位、

 

きくらげ。

 

 

 

家でも食べたいんだ!ということで、

乾燥きくらげ買ってみた。

(画像はFOOD ORCHESTRAサイトよりお借りしました。)

島根県奥出雲町で生産される希少なきくらげ。

 

 

常温の水で、数時間〜半日かけて戻して使います。

そのまま食べられないのか…って初めはちょっと手間に感じだけど、

 

一回食べれば分かる。

 

 

 

その手間すら愛おしくなる美味しさ。

 

 

まず、ひとかけが大きい。

そして、分厚い。

大満足の歯応え。

 

 

そして、

分厚いんだけど歯切れはよくて、コリコリがしつこくない。

味も強すぎなくて、他の食材の邪魔をしない。

こういうのが1番美味しいだよなぁ。

 

 

 

水で戻す作業は手間と思ったら手間なんだけど、

こういう食事の支度ごとって嫌いじゃない。

 

 

朝家を出る前に、3〜4つ取って水に浸す。

 

帰ってくると、わこわこわこわこ何倍にも膨れたきくらげが待ってる。

こっれが美味しそうで可愛いんだ…。

(ぽんは、しじみの砂抜きとかも好きなタイプです)

 

※急ぐときは、ぬるめのお湯で1時間くらいで戻してもOKとのこと。

 

 

 

 

そして。

意外なくらい使い勝手がいい!

 

中華炒めに入ってるイメージが強いけど、

ラーメンのトッピングにしたり、

醤油・ごま油とさっと混ぜて和え物にしたり。

 

 

やっぱり。

お!と思える食材が登場すると、

 

食卓の空気が変わる。

気分が上がる。

食べるのが一層楽しい。

きくらげ、時々は食べる人でいたいです。

 

食べることは生きること。加藤千恵『あなたと食べたフィナンシェ』

読むこと#34

加藤千恵『あなたと食べたフィナンシェ』

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読んでいると、思い出す食べ物がきっとあるはず。

 

 

食べ物にまつわるショートストーリーと短歌集です。

 

ある食べ物が題になっていて、ショートストーリー、最後に短歌。

というのがひたすら続きます。

 

その数、30。(!)

1編は10ページそこそこ、短いものは4ページくらいで終わってしまう。

 

 

 

すごいのが、30編ぜんぶ違うこと。

仕事や恋に行き詰まる若者の話や、かと思えばどこか終末の世界のような話も。

穏やかならない事件が起こったっぽい話もある。

 

 

 

それと、

食べ物とストーリーの良いアンバランスさも好き。

 

文庫タイトルに使われた「フィナンシェ」。

「あなたと食べた〜〜」って言われたら、淡い恋の話かと思う。

それをすっぱり裏切ってくれる設定、気持ちいい。

 

 

 

1番好きだったのは、「ウニ丼」。

細かいことは端折るけど、

食べることで、自分はまだ大丈夫、と歩き出すような短歌が印象的。

 

 

 

生きていくには、食べなきゃいけない。

一生分の運を使ったんじゃないかってくらい嬉しかったあの日も、泣くほど腹がたったあの日も、食べたご飯のことは覚えてる。

 

きっと読んでるうち、あのときあれ食べてたなぁ…と思い出すはず。

 

 

 

食べているうちはきっと大丈夫。

大丈夫でいるために、今日も食べよう。

そんな、優しくたしかな気持ちになれる小説でした。

これだから読書はやめられない。

 

豚汁×ゆず!香りと食感がオツすぎる里いも汁。

食べること#46

ゆず香る利尻昆布だし 里いものとん汁

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里いも大好きぽん、

フリーズドライで里いもの味噌汁が飲めるなんて、これは買うしか。

 

(画像は中川政七商店サイトよりお借りしました。)

 

 

 

 

お湯を注いだ時点でびっくりしたのが、

ゆずの香り。

 

 

そうでした、

買ったときにはそこまで注目してなかったけど、「ゆず香る利尻昆布だし」でした。

 

でもこんなに?ってくらい香る。

 

 

優しい爽やかな香りが広がって、

もう口にする前から幸せだぁ…。

 

 

 

 

すでにだいぶ幸せになったところでいざひとくち。

 

 

 

あー…。

美味しい…。

 

 

もう語彙が出てこない、シンプルにほっと心満たされる美味しさ。

しょっぱすぎず、利尻昆布だしだからふわっと上品な後味。

 

 

 

そして、

里いもも申し分ナシ。

 

小さめの薄切りで、

口に入れるとねっとりほろっと食感。

ごろごろ入ってる里いももいいけど、こういう切り方も食べやすくて◎。

 

 

里いも効果で味噌汁全体にかすかにとろみがついてて、これが満足感マシマシ。

 

 

具材は他に、豚肉や人参、れんこんなどが小さめカットでたくさん入ってる。

れんこんとかも、地味にあると無いとじゃ大違いなんだよなぁ。

 

 

 

今日はもう何もできない!って日も、汁物一つあれば何とかなってる気がしてくる。

その汁物が、香り・食感がやさし新しかったらなおさら元気出るはず。

これはストック買い決定です。

 

毎日がこれでいいのか迷ったら。小川糸『サーカスの夜に』

読むこと#33

小川糸『サーカスの夜に』

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「得意なことは」

「小さいこと」

 

13歳の主人公「僕」は、

10歳で身体の成長が止まったまま。

幼いころ飲んだ薬の副作用で、もうこれ以上大きくなれない。

 

そんな主人公がサーカス団に入団し、成長していく物語。

 

 

 

 

トイレ掃除や、コックの手伝い。

 

ちょっと胡散臭くてだらしない、でも人情深くて芸に真剣な団員たちに囲まれて、

日々の仕事を一つ一つこなしていく。

 

 

この周りの人たちが、どうにも魅力的!

読み終える頃には、きっとお気に入りの誰かができてる。

 

彼らは本名は教え合わず、自分のソウルフードを名前にして呼び合う。

トロとかキャビアとか、テキーラとか。

それもイイ。

(ぽんは入団したら、“カラアゲ”と呼んでもらうと決めてる)

 

 

 

 

また、この小説の魅力の一つは、雰囲気。

 

スマートフォンが登場するから、現代ではあるらしい。

そして、「ミソシル」「ナットー」

がはるか東洋の食べ物として描かれる。

 

舞台が日本ではない現代のどこかだとは分かるけど、“どこでもないどこか”のような不思議な空気感。

 

 

その不思議な空気が、

ちょっと危なげな優しさというか、おとぎ話のような情緒を物語にまとわせているような気がする。

 

 

 

 

そして終盤、「僕」は、

ある芸の使い手になる決心をします。

 

 

この芸で生きていく覚悟。

この姿の自分として生きていく覚悟。

 

ぜんぶ胸にぎっしりと抱えるラストシーン、かなり熱いものが込み上げる。

 

 

「僕」の隣に立って、自分でいることに覚悟を新たにするような、すごく清々しい気持ちで読み終えた。

迷ったとき、何度も読み返したい小説。

これだから読書はやめられない。

 

がっつり好きにこそ食べてほしい!噛むほど旨いお取り寄せ肉まん。

食べること#45

中肉まん 神楽坂五〇番

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もう暑いくらいだけど、肉まんをお取り寄せしたっていいじゃないか。(大声)

 

 

 

肉まんloverの知人から教えてもらった、

神楽坂五〇番の“中”肉まん。

 

(画像は神楽坂五〇番オンラインストアサイトよりお借りしました。)

 

 

 

 

神楽坂五〇番は、名前のとおり東京・神楽坂にも実店舗があるけど、冷凍便でのお取り寄せもやってる。

ぽん、都内住みだけど、次の休みまで待てない!

 

ということでポチ。

 

 

 

 

最も定番の「肉まん」はかーなりボリューミーだそうで、

ひとまわり小さい「中肉まん」を食べてみた。

 

 

 

 

冷凍された肉まんを、水で濡らしてレンジで20分。

オープンザレンジ、みっちりあっつい肉まん。

 

 

 

知人が熱量多めに語っていたのは、

「肉肉‼︎って感じじゃないのに、旨い」という満足感。

 

 

 

 

いざ、実食。

 

ん。

 

 

 

一っっ瞬、味薄め?と思うのですが。

 

下にのせて、噛むほどにどんどん押し寄せる旨み。

お上品なのに、しっかり満足感。

 

 

思わず漏れました、

「あ、これ美味しいヤツだ…。」

 

 

この味わいの深さ、豚の旨みだけじゃない。

キャベツの甘さがしっかりいきてるから、こんなに満足感のある味わいなんだな。

 

噛んだら噛んだだけ旨みがじわじわ溢れてきて、ずーっと食べていたい。

 

 

 

そういえばサイズ。

食後にとか、おやつに食べるならたしかに中肉まんが良さそう。

でも、中肉まんを食べてぽんが思ったのは、「何個でも食べたい…!」

 

てことで近々通常サイズも注文します。

 

 

 

551蓬莱とか、がっつりビールが欲しくなる系の肉まんも大大大好き。

 

 

でも、こういうのもイイ。

がっつり系の肉まんが好きな人にこそ、食べてほしい。

これは新しい扉開きます。

 

じんわり沁み入る生活のかけらたち。幸田文『台所のおと』

読むこと#32

幸田文『台所のおと』

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幸田文作品、一度しっかり読んでみたかった。

 

“幸田露伴の次女”

という響きに勝手にハードルを感じて未履修だったけど、いざ挑戦。 

 

 

 

読み終えてみて。

正〜〜直に打ち明けると、エンタメ系をよく読むぽんにとってはちょっと気合い入れないと難しかった…!

 

目が滑りそうになるというか、気を抜くと話の細かい流れがふっ飛んでしまうというか。

 

大きな事件は起こらない。

登場人物が感情を激することもほぼ無い。

 

 

 

そのくらい、日々の小さな心の動きや生活の様を描いた短編集。

でも、生活することってそんな小さなことの積み重ねなんだよな。

 

 

 

なかなか難しくて苦戦しながら読んだけど。

じんわりと沁み入るような言葉。

一方でなんというか、優しいだけじゃない淡々とした切れ味もある。

 

うわあ面白い一気読み!というより、

噛み締めるように、諭されるように、ゆっくりじっくり読みたい作品たち。

 

 

 

 

表題作『台所のおと』は、

病床で寝ている夫が、妻の台所仕事の音に耳を傾ける。

その音が最近変わった、というところから、夫婦のこれまでや周囲の出来事が描かれる。

 

 

 

これ、きっと誰にでも浮かぶ思い出があると思う。

 

ぽんが思い出したのは、両親が朝ごはんを作る音。

子供たちを起こさないように抑えているけど、どこか急いでいるような、控えめに忙しない音。

 

 

その音をききながら、あぁ朝だな、起きなきゃな、と布団の中でうつらうつらしていた記憶。

 

 

 

 

自分はどんな音を立てているだろう。

どんな音を立てる人になりたいだろう。

 

ふとそう考えさせられて、今日からちょっと意識が変わりそうな気がする。

これだから読書はやめられない。

 

甘くないほうじ茶ぼうろ、大人に食べてほしい味。

食べること#44

焙じ茶ぼうろ 中川政七商店

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じゅわっ

しゃおっ

と口の中でじんわりほどける。

 

 

これこれ、ぼうろってこれ…!

この食感。

子どもの頃、よく食べました。

大人になってもたまに恋しくなる。

 

 

 

中川政七商店が販売している、

産地のおやつ ぼうろ 焙じ茶。

 

ぼうろってのが懐かしいのと、

焙じ茶味が気になって買ってみました。

 

(画像は中川政七商店サイトよりお借りしました。)

 

 

 

 

ほうじ茶って最近流行ってる気がして。

スイーツも、抹茶と並んでほうじ茶味が出てることも多い。

 

 

 

しかしぽん、

甘すぎる抹茶ほうじ茶味はあまり得意ではないので、若干構えてひとくち。

 

 

 

……あ。

ちゃんと焙じ茶!!!

 

 

 

袋を開けたときから漂ってた香ばしい香り、

口にいれるとさらにふわっと。

そしてかすかな渋み。イイ。

 

 

 

香りが鼻にぬけると同時に、じわじわ〜とほぐれる食感。

噛んでも、しゃおっとした独特の感じ、無限にもう一個食べたくなる。

 

甘さ控えめ、

しょっぱいものでも甘いものでも、

美味しい食べ物って味の濃さの塩梅がシューイツなんだなぁ。

 

 

お菓子というより、香ばしさと食感を楽しむ食べ物こりゃ。

大人にこそ食べてほしい、なつかし新しいぼうろ。

これはベランダで日向ぼっこしながらお茶のお供にしたい。